東京タワー

 見たいと思っていたにもかかわらず放送日を失念してしまって、実家に電話をした時に教えてもらい途中からになってしまいました。すでにオカンの看病をしているところからでしたが、そこからだけでもあまりにも胸が痛みました。実感なのは、亡父も同じようにやはり胃がんで1年強の闘病生活の後に病室で逝ってしまっていたこと、そのことと重なり過ぎました。臨終の場面も割とリアリティのあるものだったと思いますので、見ていてちょっとたまらんものもありましたね。ただ原作を読んでないのでおそらく描写通りだろうと思うのですが、末期がんであそこまで進行しているにも関わらず、オカンが最後を迎える時に医者が家族を押し払ってまで処置を施すだろうか、というのは少々実体験との相違を感じますし、常識的に見ても無茶苦茶かなとは思います、あくまで演出だと思いますが。宗教的にはどう解釈しているかは詳しく知りませんが、人間は生きている間でなければ声も届きませんし何かをしてあげることもできません。その点オカンは本当に息子には愛情を注いで育ててくれ、そのことが自身の幸せであったわけで、できる限りの温かいメッセージを残してくれたんだろうなと思います。息子の方も親孝行したと言い切れない生き方だとしても、オカンの愛情を受けそのまま成長したというか、親に愛情を持って育てられるというのがいかに大事なことなのか、ということも本筋とは違う視点かもですが少し考えさせられました。正直なところ私自身、父が健在であった頃はあまり家族があるということが当たり前すぎて、大事だということが見えていなかったと思います。逆説的ですが父がいなくなったことで家族により強い結束力が芽生え、家族を大事に思ったり普段からなるべく一緒に過ごしたり、といったことに強く意識を向けるようになったように思います。父が健在なときにそう意識して思えなかったのが、今でも申し訳なく思っています。父に対してできなかった恩返しを、父の分まで母へお返ししようという気持ちが今はあったりします。もちろん私は息子の立場なので、精神論に甘んじて現実的な恩返しはしなくてもいいかな〜、というつもりで述べてるわけではありませんが、恩返しとか親孝行とか言いますが、やっぱり形あるものでするばかりではないですよね。時間があるときには1秒でも多く一緒に居たり、たわいの無い一言でみんなの笑顔がそこにあったり。そんな時間を持てたり記憶に残せたりするのも、孝行と言うかみんなの幸せに繋がるんじゃないかと、考えたりしています。
 ちゃんと全編見られなかったのが残念でなりませんが、きっと再放送があると思いますので、そのときは必ず見ます。原作も読んでみないと。