中国語系電子辞書ラッシュ

 このところ注目していなかったのですが、最近の各社中国語系電子辞書の収録辞書に変化が出てきています。

キャノン、中国語系コンテンツが充実した電子辞書
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/28383.html

 キャノン製は少々筐体が大きめで扱う人を選びがちな辞書なのですが、V90・G90に共通しているのは、これまでと異なり小学館の『中日辞典』『日中辞典』をやめて講談社の『中日辞典』『日中辞典』(共に第二版)を採用して方向性を変え、その上中国商務印書館が出版している中中辞典『現代漢語詞典』をも収録し、本格的な中国語系電子辞書を打ち出してきました。講談社『中日辞典』は私は所有しておりませんが言葉の派生を系図で表す「派生ツリー」や用例すべてにピンインが付されていたりと工夫の凝らされた辞書ですし、『日中辞典』もそれなりに有用なようです。『現代漢語詞典』(詞典は「してん」と読む)は歴史ある辞書ですでに数度の改訂を経ていて中国では非常にポピュラーな辞書です。これらを取り入れさらに『日中パソコン用語辞典』『中国会話とっさのひとこと辞典』もあったりしかついくつかの辞書はネイティブ音声での発音にも対応しています(ほんとはすべての語彙や例文に音声をつけてほしいのですが)。
 加えてG90は愛知大学の『中日大辞典』も収録。この辞書は日本で発売されているハンディなものでは最高の辞書といってもいいでしょう(『角川中国語大辞典』は2冊本ですので^^;)。この辞書を収録することで「プロ向け製品」というのもまあ言い過ぎではないでしょうね。もちろん本格的な研究や翻訳活動をするなら中国で出版されているもっと大型の辞典が必要になりますが、それは欲が過ぎるというべきで、G90は現段階では日本で考えうる限りの辞書収録をやってくれたのではないでしょうか。
 同じくプロ用製品を目指していると思われる、カシオの「XD-GT7350」も愛知大学の『中日大辞典』を収録しています。

XD-GT7350
http://casio.jp/exword/products/XD-GT7350/

 こちらは小学館『中日辞典』『日中辞典』それぞれ第一版を収録している他、『日中パソコン用語辞典』『日中英固有名詞辞典』『日中英・電子技術用語対訳集』『中国語 新語ビジネス用語辞典 ver.2』『ひとり歩きの中国語自遊自在』といった辞書を収めており、見るからにビジネスや新語に強い辞書に仕上がっていると思います。
 その他セイコーインスツルやシャープも中国語系電子辞書を出していますが、『中日大辞典』は収録するモデルはまだ未発売です。こうした電子辞書の発達は歓迎します。歓迎するのですが、一見独自性溢れるラインナップかと思いきや、その実今回新採用されている講談社『日中辞典』や『中日大辞典』は、時期はさまざまあるものの『日中辞典』は書籍版にすでにCD-ROMでデータがあったり、『中日大辞典』は高電社「Chinese Writer8」においてもすでに電子化がなされています。書籍の辞書が電子化されるまでには多くの手続きや越えなければならない版権などの問題がありますが、いずれにしてもそうした時期を見て、電子化が許されてようやく電子辞書メーカーも収録できる、といった後手に回らざるを得ない面もあったりして、色々と制約を受けた上でのリリースという一面もあるのではないかと思います。
 ただそうはいっても役立つ辞書が1台の電子辞書に収まってどこにでも持ち運べるというのは、PDAで辞書を使っておられる方でもお分かりだと思いますし、中国語に携わる者としてはこうした中国語系電子辞書の進化は本当にうれしいです。久しぶりに1台買ってみようかなという気になったりしています(^^♪
 な〜んかひさびさに中国ネタでマジエントリしてもたかも…(;o;)!!